食品包装材の業界では、国際的な基準や国の規定を基にして、より厳格なルールを制定するべく、自主規制団体を設立しています。自主規制団体設立の目的は主に、プラスチック容器から溶出する可能性のある物質の規制にあります。実はこれらの団体が定める上限値は国の判断材料となることもあり、実際「食品、添加物等の規格基準」などもそのような経緯で制定されました。自主規制団体の取り組みの例としては、塩化ビニルモノマーの規制が知られていますが、他にもポリスチレンの材料に残存するベンゼンやスチレンモノマー等の揮発性物質を規制したり、ラップフィルムの原料である塩化ビニリデンモノマーの上限値を定めたりしています。
自主規制団体が研究の末に生み出した規制値は、法的取り締まりにも使用されています。保健所はこの規制値に基づいて強制的に査察することが出来る仕組みとなっているのです。日本ばかりではありません。今後は世界的にプラスチック容器に対して厳しい視線が向けられることでしょう。しかし業界も安心して利用してもらえるように、安全性を担保するための努力を怠らないはずです。自主規制団体の設立はその証左であり、これからも新たな取り組みが模索されることでしょう。
ところでプラスチックに冷たい視線が注がれるのは、素材に含まれる物質の危険性だけが理由ではありません。使用後の処理に困るというのも大きな理由です。つまりプラスチックは使用後に大量のゴミに変貌してしまい、しかも土に還らないという欠点があるのです。しかし最近の技術革新によって、この欠点が解消される可能性も生じています。