練り歯磨きのチューブは日常よく使う身近な包装容器ですが、以前は今のようなプラスチックチューブではなくアルミニウムなどの金属製のチューブでした。この金属を使ったチューブは、溶かした素材を金型に流し込んでプレスの後出来上がる「底つき薄肉円筒」と呼ばれたもので、金属は缶詰で知られているように外部との遮断性に優れた包装材として重宝されていました。ただ、金属製チューブは押し出して使ったら元に戻らないことや外側の印刷といったデザイン性には劣るものと言われていました。チューブに使われる金属には、そのほか錫や鉛などもありましたが、原材料費が高いことや安全性といった点などで、使用範囲は他に絵具や化粧品などと限られていたようです。当時でも、化粧品などには内面に耐薬品性の優れたポリプロピレンなどは使われていましたが、チューブ全体への展開までには至りませんでした。